皮膚科では日々の診療で、年に数回程度ですがアタマジラミの集団発生を経験します。’シラミ’と聞くと昔の害虫といったイメージで驚かれる方もいらっしゃいますが、今なお定期的に集団発生がみられており、みなさんごく普通の生活をしている方たちばかりです。

アタマジラミとは？

・人の毛髪に寄生する害虫で、皮膚から吸血🩸してかゆみや湿疹を起こします （病原菌やウイルスを媒介することはありません）。

・毛髪同士の接触や頭を拭いたタオルの共用などで感染するので、頭同士をくっつけて遊ぶことの多い、低年齢のお子様に多く見られます😣

・不潔にしているからシラミに感染したわけではありません。人から人に感染するので、どんなに清潔にしていても感染する可能性はあります😰

・近年、感染事例は増加傾向です。シラミを知らない世代が親になり、我が子の感染に気づかないため、感染が拡大していると推測されています。

＜シラミの一生＞

・アタマジラミが感染すると、髪の毛に卵を産み付けます。卵はセメントのような物質でとても強く髪の毛に固着してなかなかとれません。卵から１週間程度でふ化し、さらに１週間程度で成虫になります。成虫の寿命は１か月程度ですが、１日に３～４個、１か月で約１００個も産卵します🌀😱🌀

・アタマジラミは繁殖力が非常に強く、早期に駆除を行わないと増加するため、早期発見と対策が重要です！！

アタマジラミを駆除するには？

・手っ取り早いのは髪の毛を５厘刈り(1.5mm)以下に短くすることとされていますが、今の時代ではなかなか難しいですよね。そこで、以下のような専用のシャンプーをご購入いただいて治療していきます。

シラミ駆除剤「スミスリンシャンプー」で駆除する（薬局で購入できます）

アース製薬「シラミとりローション」で駆除する（薬局で購入できます）

・上記のシャンプーを使いながら、さらに専用の「すきぐし」を使って駆除すると効果的です。
⇒生え際から２－３センチ幅で、髪の毛を小さなブロックに分けて根気よく丁寧にすいていきます。⇒すきぐしは一回ごとに流水でよく洗います。

※卵は固着しているので一般的なシャンプーでは除去できません。すきぐし等で取り除いてください。

＜スミスリンシャンプー＞

・ピレスロイド系の殺虫成分で、人体への使用が認められている「フェノトリン（スミスリン）」を配合したシラミ駆除剤です。ピレスロイドは蚊取線香などの家庭用殺虫剤でも使われており、高い殺虫効果と安全性を併せ持ちます。（人などの恒温動物では体内に入っても速やかに分解され、体外に排出されます）。また、使用に際して年齢制限もないので、お子様にもご使用いただけます。

・１日１回、３日に一度ずつ（２日おきに）、３〜４回繰り返してください。

＜アース製薬　シラミとりローション＞

・アース製薬が２０２１年に初めて承認を取得した、殺虫成分不使用のシラミ駆除剤で、薬剤抵抗性のシラミや卵にも効果的です。有効成分「ジメチコン」は、ヘアケアやボディケア製品に幅広く使われている成分で、シラミ自体をコーティングして動けなくなり、体内の水分が排出できなくなることで退治します。お子様にもご使用いただけます。

・１日１回、２～３日に一度ずつ、３回繰り返してください。

・卵は約７日でふ化します。薬剤は卵にも浸透しますが、一部ふ化するものもありますので３回繰り返してください。

※いずれもご使用の際は、使用上の注意を読んで正しく使用してください。

身の回りのものはどうしたらいいですか？

・感染拡大を防ぐためにも、感染部を拭いたタオルや、使用した寝具などは他の洗濯物と分けておきましょう。タオルやブラシ、帽子などの貸し借りや共有はしないでください。
（まれに、髪から落ちた虫や、卵のついた髪が付いていることがあります）

・シラミは熱に弱いので高温になると死んでしまいます
洗えるもの（シーツやタオルなど）は６０℃以上のお湯に５分以上つけてから洗濯してください。衣類乾燥機やアイロンで熱をかけるなども効果的です。

・アタマジラミは髪の毛から落ちてしまうと素早く動くことができず、血を吸わないと２～３日で餓死してしまうので、被害拡大に対して神経質になる必要はありません。

・熱処理ができない場合は、粘着クリーナー等で落ちた虫や髪の毛を取ったり、掃除機をかけたりするだけでも大半は取り除くことができます✨。カーペットやぬいぐるみなど、身近なもので気になる場合にはポリ袋に入れて封をし、卵が孵化する期間も含めて約2週間放置してください。

学校や習い事は休まないといけませんか？

・学校保健法施行規則では、アタマジラミは「通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症」です。治療を始めると、その時点で髪の中にいる幼虫･成虫は駆除されますので、感染を拡げる可能性はかなり低くなるといわれています😊