水痘(みずぼうそう)&ワクチン💉
- 2024年2月6日
- 皮膚疾患と治療
今回は、ワクチン接種が普及しているものの、定期的にみられて、時に流行もみられる疾患である「水痘」について記載します🍀
水痘は、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)というウイルスによって引き起こされます。主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。小児における重症化は、熱性痙攣、肺炎、気管支炎等の合併症によるものです。成人での水痘も稀に見られますが、成人が水痘を発症した場合、水痘そのものが重症化するリスクが高いと言われています💥。致命率は年齢により異なり、10万人あたりで1~14歳で約1人、15~19歳で2.7人、30~49歳で25.2人と報告されています。
症状は?
典型的な症例では、発疹が出る前に発熱がみられ、その後赤いぽつぽつとした皮疹や小さな水膨れがでてきます。最近では、すでにワクチン接種している小児間で感染する例が多く、そのような場合には発熱がみられないこともしばしばあります😣。
感染経路は?
飛沫感染、接触感染だけでなく、空気感染でも広がります😰。空気中のウイルスを吸い込むことで感染してしまうので、とても感染力が強く、同じクラス内で拡大してしまいます🌀。
潜伏期間は?
およそ2週間程度と言われています。感染してから症状が出るまでの期間が長く、発症する1~2日前から感染力があるため、知らないうちに感染が広がってしまうことがあります😵。
治療は?
抗ウイルス薬の内服を行います(発症早期に治療した方が効果的)です。皮膚症状が強い場合には塗り薬、かゆみが強い場合には抗アレルギー薬の内服をかゆみ止めとして使うこともあります。
水痘ワクチンについて💉
水痘の予防接種は、1987年に接種が開始され、当初は任意接種だったため、費用は自己負担となり、希望される方が各自で病院を受診して接種する、という形でした。その後、2014年10月から定期接種(法律にもとづいて市区町村が主体となって実施する、公費対象)になり、現在は生後12か月から15か月までに1回目を接種し、2回目は1回目接種から3カ月以上の間隔をおいて(標準的には6か月から12か月経過した時期に)接種します。
ワクチンの効果は?(※1)
国内の調査では、1回のワクチンを接種することで水痘にかかるリスクは約80%減少し、2回接種するとその割合が90%以上になると言われています😊。現在までに20年の追跡調査がなされていますが、ワクチンによってできた免疫はその後も97~100%持続すると言われています。つまり、ワクチンを2回接種することで、9割以上の方に免疫がつき、その免疫は長年にわたり持続するということになります✨。
大人でもワクチン接種できる?(※2)
成人でも水痘にかかったことがなく、ワクチンも接種していないという方では水痘にかかる可能性があります。成人では重症化しやすいことから、ワクチン接種が推奨されます💉。また、これまでにかかったか、ワクチン接種したかどうかが曖昧な場合でも、免疫を持っているか確かめることなくワクチンを接種することができます。ただし、妊婦や免疫不全の病気がある方、免疫抑制剤などを服用している方には接種できませんので注意が必要です。
水痘ワクチンからの二次感染はあり得るか?(※2)
水痘ワクチンは弱毒化された生ワクチンです。例えば、ご家族の中に水痘の免疫を持たない妊婦さんや生後間もない赤ちゃんがいる場合に、子供や配偶者に水痘ワクチンを接種してもよいか、という心配があります。それについては、ワクチン株から二次感染した例はほとんどなく、むしろワクチン接種を受けていない家族が自然感染を受け、そこから感染するリスクの方が高いとされています。
水痘ウイルス暴露後の予防(緊急接種)について(※3)
水痘は感染力が強いため、家族内に水痘感染者が出た場合、水痘に対する免疫がない方の90%が感染し、発症するといわれています😱。発症する1~2日前から感染力があるため、同居する家族内での発症予防は難しいかもしれませんが、接触後3日以内の緊急接種では90%以上、5日以内では70%の発症を阻止でき、100%の重症化を予防できるとされています。5日以上~潜伏期間の後半に接種した場合には、ワクチンによる免疫が間に合わず発症を阻止できない可能性が高くなりますが、感染していない可能性もあるため、将来の感染を予防できることを考えるとワクチン接種が推奨されています。なお、水痘の潜伏期間中に水痘ワクチンを接種しても、発症した水痘が重症化したり、ワクチンの副反応が強く現れたりすることはありません👌。
<参考文献>
※1:水痘ワクチンに関するファクトシート/国立感染症研究所/2010年
※2:予防接種に関するQ&A/日本ワクチン産業協会/2023年
※3:水痘の予防・予防接種実施に関する諮問委員会 (ACIP) の推奨事項/CDC(アメリカ疾病予防管理センター)/2007年